『スリー・ビルボード』(マーティン・マクドナー/2017)
ファーストデイの本日何か映画を見ようということになり、最寄りの映画館で上映中の作品から『不能犯』と迷ってこちらを選びました。
今日から公開なのですが昨日までは一切知らなかった作品で、なんで選んだかっつったらググッた結果海外で有名な賞を取ってるのを知ったから。
困った時の権威主義。
娘をレイプされた末に殺された女性・ミルドレッドはそれから7ヶ月経っても犯人が捕まる気配すら見えないことに苛立ち、警察を非難するような文面の3枚の広告看板を出し、それを巡って物語は展開していきます。
娘をレイプされて殺された母親が主人公ということで、なんとなくサスペンスっぽいストーリー(犯人に辿り着き復讐するのか否かみたいな)になるのかなと思っていたのですが、予想に反して穏やかな映画でした。
物語は事件の真相に迫ることよりも、この出来事を取り巻く人々の交流に重きが置かれています。
自責の念により精神を病んでいるミルドレッドだとか警察サイドでも(広告で名指しで非難された)署長が実は膵臓がんで余命幾ばくもないとか署長を慕うディクソン巡査のあまりに攻撃的過ぎる人間性だとか。
各々が抱えている事情、それらが交わって生まれる人間模様に見応えがあり、犯人探しはほとんど進展しないにも関わらず見ていて飽きません。
このあたりの描き方が評価されて賞取ったのかなあと思いました。
「めちゃめちゃ楽しかった! オススメ!」ってわけじゃないんですけど、なかなか見応えはある映画でした。
以下重大なネタバレなのですでに見た方のみどうぞ
それが本筋ではないとはいえ犯人は結局謎のまま別なレイプ魔を殺しに行く(当人たちもあまり乗り気ではないと言うけど)というラストは何なんだそれと思うし、すっきりしないところも大きいんですけど、そこも狙ったものなのかなあって感じでそこまでマイナスする気にはなれないかな。
いくらなんでもディクソンの殺人未遂は即逮捕でしょと思うし、南部の黒人差別もミルドレッドの口から語られるのみであまり上手く活かせてなかったなとか、普通に粗を感じなくもないですが。