『ミスミソウ』(内藤瑛亮/2018)
東京から田舎町の中学に転校してきた少女が凄惨なイジメの果てに家族を焼き殺され、復讐に同級生を次々殺害していくというショッキングなストーリーの漫画を実写化した作品。
感想ですけど、一番に思うのは尺が足りないな~~と。
原作も割と短い漫画なんですけど、ストーリーもキャラクターもほぼそのままなぞって2時間の尺に収めるとやっぱ不十分な感じ。
『ミスミソウ』は、主人公・野崎春花へのイジメに留まらず家族を焼き殺すという凶行に及んだ中学生たちも各々が閉鎖的な田舎町の環境に追い詰められていたことがわかり、被害者側はもちろん加害者側についても、環境次第で普通の中学校生活を遅れたかも知れないのにこんなことに、という救いのなさが肝だと思います。
実写版もそのニュアンスを再現しようとしているのはわかるんですけど、やっぱりある程度の時間をかけて積み重ねてくれないと、要素は提示されていても唐突に見えるというか、そんな印象でした。
相葉と春花の恋愛とか、相葉の本性とか、一方で妙子から春花、流美から妙子への恋愛感情的な執着とか、ドラマが上滑りしていって。
妙子が春花に謝罪して許しを乞い、春花が受け入れる場面とか、映画で見ると妙子が家族襲撃には関与してないなんて春花は知らないのに謝られたくらいで許せんだろとか。
また、そういう積み重ねの有無とは別に、原作通りなんだろうけど実写で見るとなんかシリアスに見えないな~という場面も度々あり、具体的に言うと復讐場面のグロ描写ね。グロってギャグスレスレのことよくありますけど、この作品の場合はギャグっぽく見えてしまってると思います。あと、舞台挨拶でも監督自らネタにしていたけど、春花がピンチに陥ると都合よく手元にある武器(これも原作通りだけど)。
まあ原作を読んだのは数年前で記憶が判然としないので読み返してみたらこんな印象かも知れませんが、とりあえず一つの映画として面白いとは言えないかな……。
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