サンライトノート

主に映画や小説、漫画等の感想を一定量吐き出したい欲を満たすためのブログです。本が出るとかなったら告知もするかもしれません。

映画『リョーマ!The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』感想


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話題になってるので見てきました。フルCGのテニプリ映画。

当然ネタバレありますのでご注意を。

 

 

【ストーリー】

アメリカへ武者修行に出かけた越前リョーマは家族旅行に来ていた竜崎桜乃と遭遇。

原作でも登場していたテニスギャングたちに絡まれていた彼女を助けに入り、ギャングたちをラップバトルなど交えながらテニスで圧倒。

しかし、ボールとボールがぶつかった衝撃でリョーマと桜乃は過去にタイムスリップ

そこでは現役時代のリョーマの父越前南次郎が出場する全米オープンの決勝を数日後に控え、しかし南次郎を勝たせまいとする勢力によって、身内と間違われた桜乃がさらわれてしまう。

桜乃を人質に八百長試合を強いられた南次郎は本来の歴史ではその八百長がきっかけで引退しているらしく(そこでは幼稚園児くらいのリョーマかリョーガがさらわれているっぽいです)、リョーマは父の八百長とそれによる引退を阻止すべく、桜乃を守りながら試合まで敵勢力から逃げ回ることに。

 

ボールによるタイムスリップだとかミュージカルパートの異様さだとか荒唐無稽な部分は多いながらも、「作中最強キャラ南次郎の引退を阻止する」「全盛期の南次郎に挑戦しようとするリョーマ」という父と子の王道的なドラマに加え、桜乃との恋愛映画(越前リョーマへの印象って正直「まだまだだね」しかなかったんだけど普通に同級生女子にドキドキするんですね)的なテイストも加わって一本の映画としての軸はきっちり整っているのが逆に感心させられた感じ。

意味不明な映画を期待して見に行くとむしろ肩透かしを食らうんじゃないかなってくらい。

【ミュージカル】

ミュージカルはなんか素直に楽しかったです。

多分この映画はいわゆるテニミュが前提にあるんでしょうし、テニミュ自体は見たことないんですけど、CGになっているとはいえ普通に漫画で知っているテニプリのキャラが突然歌って踊りだすの、笑っちゃう一方で「こういう世界なんだな」と割とすんなり入ってきました。いや、原作テニプリはこういう世界じゃないかも知れないけどこの映画はこういう世界だよ多分。見てて楽しいし。

原作で見た時は正直ちょっとキモかった許斐先生作詞の挿入歌『Dear Prince~テニスの王子様たちへ~』も、テニプリオールスターズの歌とダンスでお送りされるとひょっとしていい曲なんじゃないって思わされる。

一番笑ったのはリョーマから時を越えた電話を受けた跡部様で、その時はベッドで毛布にくるまった状態なんですけど、ミュージカルって朗らかな表情で踊りながらのイメージあるじゃないですか、跡部景吾ともなるとベッドに寝っ転がってスマホ片手でもミュージカルできるんですよね。

ところで、原作でリョーマと喋ったことあるかも怪しい柳生がミュージカルパートでリョーマに「お前がテニスの王子様だ」みたいなこと言ってるのは何で柳生って思ったんですけどテニミュでは原作と異なる何かの因縁があったりするんでしょうか。

 

【テニス】

テニスは正直言うと期待はずれでした。恐竜滅びないし

テニプリの映画って言われると何かめちゃくちゃ過剰な演出の技が飛び出して対戦相手が吹っ飛んだりコートにブラックホールが発生したり巨大化したりを期待するじゃないですか。今作ではそういうことは起きません。

映画は原作クライマックスのリョーマが全国大会決勝で幸村を倒す場面から始まるんですけど、その時のサムライドライブが作中で一番派手な技でした。

特に、作中最強キャラである南次郎の試合が描かれているのに、絵的には普通にテニスしているだけだし、あり得ない技抜きの普通のテニスシーンとして見てもそんなに見せ方が凝ってるわけでもなくむしろ平坦な印象。CGアニメとしてのCGのクオリティも、そりゃピクサーとかには及ぶべくもないとはいえ2021年に見る映画としてはチープに思われ、視覚的に大満足って感じではなかったなと。

 

竜崎桜乃

越前リョーマへの事前の印象が「まだまだだね」しかないのと同様、竜崎桜乃というヒロインについても「ゼロ年代に2ちゃんでアンチスレが立ちまくっていた」くらいの印象しかないんですが、実際見てみると叩かれるジャンプヒロインの一つのイデアって感じ。

リョーマの本業(?)であるテニスへの貢献は何もないので物語の中でできる仕事がなく、この映画でもただただ守られて足手まといになっている場面が目立ち、容姿がかわいい以外の積極的な魅力を感じられませんでした。

やっぱり、ヒロインに限らず作中それなりに出番があるはずのキャラクターには何かしらの活躍を見せてくれないと魅力的と思うのは難しいのだなあ。(そういう意味で、主人公の本業では特に役に立てない日常サイドのキャラクターながらあれだけ主人公を支えられることに説得力があった火ノ丸相撲のレイナさんは偉大)。