『ブラックパンサー』
『シビル・ウォー』から続く『アベンジャーズ』のヒーロー映画。
『シビル・ウォー』では父親を殺された復讐者というキャラクターで悪役ではないにせよ敵寄りの立ち位置だった(もう記憶が曖昧だけど)彼が今回はアベンジャーズのヒーローというよりは王として国を守るために戦います。
で、感想としてはめちゃめちゃよくできていたような気がします。
僕はそもそも『アベンジャーズ』の設定把握が十分じゃないので(映画も見てないのがちらほらあるし)物語に入り込みきれているかはわからないのですが、完成度の高さはそれでも明らかで、今まで見たMarvelヒーロー映画の中でも屈指だったんじゃないかなと。
まず、魅力的なのはワガンダの世界観ですかね。
世界一の科学力を持つ超大国ながらテクノロジーによって途上国に偽装しているという設定で、アフリカの山野が一瞬でサイバーパンクに登場するような未来都市へ変貌する序盤の場面が、世界観を一目でわからせてくれてグッと来ました。
そして、父と子/王/国、というテーマ性。
『シビル・ウォー』では父の復讐を果たそうとしていたティ・チャラの前に立ちはだかるキルモンガーもまた父の復讐者であり、遺恨の発端はチャラが敬愛していた亡き父の、昔の過ちにありました。
王を決める決闘でチャラを倒し、王の座についたキルモンガーはヴィブラニウムと科学技術で世界に打って出ると宣言。
彼は力に溺れてはいますが、「弱者が虐げられる世界を変えたい」という信念があり、圧倒的な国力を持ちながら他国との関わりを極力排除し自国の繁栄だけを維持するワガンダの問題点を浮き彫りにするキャラクターでもあります。
この映画はチャラが父の過ち、これまでの自分やワガンダの排他的な姿勢に向き合う物語になっていて、最後はキルモンガーに勝利し王に返り咲くのですが、彼は従来の方針を転換、途上国を装うことをやめ、人類全体のために積極的に世界に関わっていくことを国連で宣言することに。
やり方は間違っているが否定しきれない動機を持ち、主人公たちへのアンチテーゼを突きつけるキルモンガー、そのことを踏まえ、彼がやろうとしていたことをより正しい形で実践していこうとする新たな王ティ・チャラと、明確なテーマを非常にスマートにまとめ上げていたと思います。
政治的にも大変メッセージ性の強い映画だったようで、僕自身はリアルタイムでそこまで拾えてはいなかったけれど、そういう部分に注目するとまた面白い作品なのかもしれません。
ブラック・パンサー、間違いなく"トランプ当選後の世界"のヒーロー映画だった。MCUで最も政治的。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○"国家観"を様々なキャラクターや設定に忍ばせてる。たとえばティチャラとキルモンガー(以下追記) https://t.co/yyIglQfMhm
— じゅぺ (@silverlinings63) 2018年3月1日
「バカは壁作る」のところ、あまりにも政治臭がすごすぎてうわあってなったな
— ハヤカワJAはラノベ (@nyapoona) 2018年3月1日
難点を挙げると、アクションが地味ってところでしょうか……。
カーチェイスシーンとかはよかったんだけど、対人戦闘場面は正直そんなに……。