サンライトノート

主に映画や小説、漫画等の感想を一定量吐き出したい欲を満たすためのブログです。本が出るとかなったら告知もするかもしれません。

『劇場版シティ・ハンター〈新宿プライベート・アイズ〉』感想


「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」本予告第二弾 | 2019年2月8日(金)全国ロードショー

 

cityhunter-movie.com

 

美女には目がない凄腕の掃除屋・冴羽獠が新宿で悪を狩る「シティ・ハンター」。

80年代後半の作品ですが今作の舞台は2019年、新宿駅伝言板は撤去されて久しく、スマホアプリを使ってARで表示される伝言板に「XYZ」を記入することで依頼できる、という現代仕様に。

なんですけど、本編の感想は「昭和」「バブル」の一言。

美女を見るとセクハラを働くけどいざとなったら無敵という冴羽獠の造形自体もう時代を感じさせるし現代で見るとセクハラや言動全体が普通にキツいし劇中でも「時代の空気読まんかーーい」と制裁されていた(それでもやめなかったけど)んですけど、そこに限らず、全体のノリに隔世の感が甚だしいっていうか。

舞台は現代の新宿で登場人物も皆スマホユーザーだし背景も見覚えのある新宿の町並みで、その中で冴羽獠は平然と銃を所持して銃撃戦を繰り広げ、そのことについてお咎め無しだわそんなに金が入るとは思えないのにワンフロアありそうな部屋に住んでいるわ、「ねーよ」という気持ちが先立ちすぎる。

後半では武器商人が自社の戦闘用ドローン兵器を売り込むべく新宿を戦場にしようとたくらむ……みたいな感じになるんですけど、冴羽獠も仲間の海坊主も、遮蔽物もない場所を機銃掃射から走って逃げて一発も当たらない。いや、昔のアニメではこういうの当たり前だったかも知れないけど。

現代になるほどフィクション全体に求められるリアリティラインの水準がどんどん上がってるのは感じるけど、この映画は完全に当時のまま。

非現実的とかとはまた別だけど、Tシャツの袖をまくってノースリーブにしてるファッションとか、登場する「美女」の造形とか、センスがとにかくバブリー。

(一番笑ったのは、ゲストで登場したキャッツアイのファッションですかね)

 

もとが何十年も前の作品と言えばルパンなんかもそうなんでしょうけど、あっちはTVスペシャルとかを見るとちゃんと現代ナイズしたものを出してきてると思うので、シティ・ハンターの古さは普通にダサく見えてしまう。

あと、単純にエンタメ的なケレン味もなくて、敵組織の持ち出してくるのが「脳からの信号で直接操縦できるドローン兵器」なんだけど、従来の操縦方法に比べて何が優位なのか全然わからない。冴羽や海坊主に対しては数の優位で苦戦させてるだけだし。

操縦者であるIT社長は遠隔地で切れ散らかしてるだけで、冴羽たちは謎の主人公補正で無敵状態のまま機械と戦ってるだけなので緊張感も盛り上がりもないし、絵的にも面白くないし。

似たようなところのあるルパンとかコナンとか、荒唐無稽でもちゃんとケレン味やテンポ、アクションで見せてくれている中、これは現代では通じないものをそのまま出してきていて、なんか、せっかく作るならもっとちゃんとやれよって感じの映画でした。

当時のままのシティ・ハンターを見たいって人ならともかく、普通に面白いものを楽しみたい人は見ない方がいいと思います。